新谷の日記

有意義なことが書けるように頑張ります

微積分を知っていると少し人生が豊かになるかもしれないねって話 その5

こんにちは、新谷です。

お勤め人の方は、そろそろ冬の賞与が支給される時期ではないでしょうか。

まとまったお金が入ってくるので、買いたかったものを買う人、趣味に費やす人、年収が確定したからと「ふるさと納税」の調整をする人、将来に向けて貯金する人・投資する人、それぞれいると思います。

ふるさと納税を検討しており、楽天会員かつ楽天カードをお持ちの方は、12/4(金)現在開催中の楽天スーパーセールやお買い物マラソンを組み合わせて寄付をすると、期間限定ポイントがザクザク貰えるので是非利用してみるといいでしょう。

さて話は変わって、本ブログでは複利でのお金の増え方について紹介しました。

ar4t4ni.hatenablog.com

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株や投資信託、不動産などの資産運用や、預金などの利息を利用することで、指数関数的にお金を増やすことができるという話をしてきました。

今回は、そのお金の増え方に関する小話を紹介しようと思います。

72の法則

アイマスを嗜んでるという方は、一度はネタにしたりされたりしているのを見たことであるだろう数字「72」。けどここではアイマスの話はしません。

投資されている方や、勉強されている方はこの法則知ってるよ!と答える人が多いと思います。どのような法則かといいますと、お金を年率I[%]で運用するとき、72をIで割るとそのお金が2倍になるのに何年かかるかパッと分かるという法則です。

www.bank-daiwa.co.jp

  • N=\dfrac{72}{I}

I:年利[%]、N:お金が2倍になるために必要な期間[年]

年利[%] お金が2倍になるために必要な期間[年]
0.001 72000
0.01 7200
0.1 720
1 72
2 36
3 24
4 18
5 14.4
10 7.2
12 6
18 4
20 3.6

現在、銀行預金の年利は0.001[%]代のところが多いため、金融商品で運用するリスクを嫌ってひたすら銀行預金に預け続けて、今ある元手を2倍にしようと思うと72000年かかります。

前々回の記事投資信託で運用した場合、年利3%は割と現実に即しているという話をしました。年利3%だと元手が2倍になる年数は24年。30代過ぎから資産運用を始めると、ちょうど定年前くらいで2倍にできる計算です。そう考えると、複利での運用は若いうちに手を出しておいた方がよさそうということが分かりますね。元手があるとは言ってないけど。

その期間をより短くしようと思うと、リスクを取ってさらに年利の高い運用するか、ギャンブルで一発当てるしかないですね。

さて、72を年利で割るだけで今ある元手が2倍になる年数が計算できる「72の法則」。この「72」はどこから出てきたのでしょうか。

72の出どころ

前々回前回の記事で複利でお金がどう増えるかということを書いていきました。

それが分かっていば、この「72」に近付くことができます。さて、お金をy、元本をP、運用年数をn、年利をI[%]とするとそれぞれの関係は下のように書けます。

  • \displaystyle{y=P\left (1+\frac{I}{100}\right )^{n}}

※今回年利は百分率(パーセント)で考えているため、Iは100で割っています。

さて、今回はI[%]で運用したときに何年でお金が元本の2倍になるかを考えます。お金が元本の2倍になるということはy=2Pということになります。元本が2倍になる年をn=Nとすると、先ほどの式は下のようになります。

  • \displaystyle{2P=P\left (1+\frac{I}{100} \right )^{N}}

この式からNを求めたら良さそうですね。両辺の自然対数を取って、式をガチャガチャ変形させると下のようになります。

  • \displaystyle{N=\frac{\ln 2}{\ln \left (1+\dfrac{I}{100}\right )}}

式が複雑になっちゃいました……けど、かつての数学者は偉大で、このような複雑な式を簡単な形に変形する術をもっていました。上の式の分母はある制約を入れると、下のように近似できます。

  • \ln \left (1+\dfrac{I}{100}\right )\approx \dfrac{I}{100}

めっちゃ簡単になりました。(詳しく知りたい方はテイラー展開マクローリン展開でググってください。 |I| \lt100という制約を入れ、2次項からは\left ( \frac{I}{100}\right )^{n}\approx 0とするのがミソです。)

Nの式を簡単な形に書き直すと、下のように書けます。

  • N=\dfrac{100\ln 2}{I}

お手元に関数電卓をお持ちの方は、100\ln 2を計算すると約69.3という値が出てきます。つまり、Nの式は下のように書けます。

  • N=\dfrac{69.3}{I}

あれ……さっきの72はどこ行った……

結局72ってなんなのよ

散々72で弄っておいて、72を割る形になってないじゃんというツッコみもあると思います。でも安心してください。下の表に69.3と72のそれぞれの数字で計算した値の一覧を載せます。

年利[%] ちゃんと計算したとき 69.3で計算したとき 72で計算したとき
0.001 69315.06 69300 72000
0.01 6931.82 6930 7200
0.1 693.49 693 720
1 69.66 69.3 72
2 35.00 34.65 36
3 23.45 23.1 24
4 17.67 17.325 18
5 14.21 13.86 14.4
10 7.27 6.93 7.2
12 6.12 5.775 6
18 4.19 3.85 4
20 3.80 3.465 3.6

年利が小さい時は69.3で計算した方がちゃんと計算したときの値に近いですが、年利が大きくなると72で計算したときの方が値が近くなっています。

先ほどNの式を求める時に計算が面倒だから近似して、簡単な式に変形しました。あくまでも近似しただけですので、ちゃんと計算したときと比較して誤差があるのは当然です。

簡単な計算するときの誤差をいい感じに小さくしようと思うと、69.3ではなく72で計算したほうが都合がよかったので、72が選ばれたと考えられますね。

他に考えられるのは計算のしやすさです。72は整数だから計算しやすいのはもちろんですが、72は1,2,3,4,6,8,9,12,18,24,36,72の12個の約数を持っています。2桁の整数で12個の約数を持つというのは最多です。

先ほどの69.3を四捨五入して69にしてもいいのですが、69の約数は1,3,13,69の4つだけです。なので、パッと計算したいときは72で計算したほうが割り切れた数字がでやすいので、ざっくり計算したいときにはぴったりです。

72を年利で割ると元手が2倍になる年数が分かるので、これから資産運用を考えていて、いつまでに元手を2倍にしたいか目標を立てているという方は、何%で運用すればいいか目安を知ることもできますね。

リボ払いは計画的に使わないと大変なことになるらしいね その2

ここまではお金が増えるという話をしてきました。増えるお金は今自分の手元にあるお金だけではありません。借金も利息がかかっているので、借金も増えます。

例えばローンを組むとき、ローンの利息と「72」という数字を使えば、何年で返済額が2倍になるか計算することができます。特に、大きいお金が必要になる自動車ローンや住宅ローンでは、長期間の返済が必要になるので「72の法則」から本当に自分がお金を完済できるか?と考え直してみるのもアリだと思います。

あと怖いのはリボ払い。計画的に利用している人はいいのですが無計画に使っている方はいないでしょうか?

前々回の記事ではリボ払いで下記程度の利息がかかると紹介しました。

参考:利息制限法 | e-Gov法令検索

元本利息(年利)
~10万円20%
10~100万円18%
100万円~15%

例えば10万円を年利18%でリボ払いしていたとしましょう。計画的に使っており、この10万円を返し続けていたらいいのですが、毎月ちょこちょこリボ払いをしてこの10万円が維持されるとどうでしょうか?

72の法則から、72を年利18で割ると4年という数字が出ます。つまり、たった4年で10万円借りていたつもりが20万円返さないといけなくなります。この数字をみると、リボ払いの年利は決して低くないということが分かります。

複利は味方につけると大変心強い味方になってくれますが、敵に回るとすごく恐ろしいです。ですので、運用するにしても借りるにしても計画的にお金のことを考えたほうがよいでしょう。

最後に

この記事では「72」とお金の関係について書いてきました。何気なくイジっているであろう「72」、実はお金の増え方と密接な関係していることが分かったと思います。

先ほども書きましたが、複利は味方につけると心強いですが、敵に回すと大変なことになります。私もそうですが、複利を味方につけられるような過ごし方をしたいものです。

さて、「微積分を知っていると少し人生が豊かになるかもしれないねって話」という題で始まったこのシリーズは早くも?5回目。

まだまだネタは尽きないので書いていきますが、みんなに興味を持ってもらえるようになるべく実用的で役立つようなことをこれからも書けるように頑張りたいと思います。
感想や誤植などのご指摘等々ありましたら、Twitterもしくはコメント欄で反応いただけますと嬉しいです。

続きます。

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