※本記事は個人的な主観がほとんどですので、本記事で発生した金銭的なトラブルは責任を負えません。
ご無沙汰しております、新谷です。
ここ最近はアメリカFRB(Federal Reserve System)が利上げを続けて、同国の株式市場で続落が続いてますね。
一方日本銀行(日銀)は金利上げを計画しておらず、そのためか円安が進行し、24年ぶりとなる円買いを始めています。
私もインデックス投資教に入信して投資をしている身ですが、相場を動かせるほどの資産は持っていない。長いものに巻かれるしかないのですが、持っている金融商品が上がってくれることをただただ祈るばかり……
iDeCo加入要件の緩和(2022年10月~)
さて、日本での投資に関するニュースの1つに、2022年10月からのiDeCo(individual-type Defined Contribution pension plan、個人型確定拠出年金)加入要件の緩和があります。
確定拠出年金は2001年(平成13年)から始まった制度で、企業(勤め先) or 個人がお金を拠出(上限有)して、年金を積み立てる制度です。企業にお勤めの方はDC(Defined Contribution。企業型確定拠出年金、企業型DC)という単語を聞いたことがあるかもしれません。企業型DCは勤め先がお金を拠出していますが、iDeCoは加入者自らお金を拠出しています。
iDeCoの加入資格と拠出限度額は下記の通りiDeCo公式HP(https://www.ideco-koushiki.jp/)で紹介されています。
iDeCoは年金であるため、原則60歳以上にならないと引き出せないという制約はついていますが、拠出した金額だけ所得控除され税金が安くなったり、運用益が非課税だったりと税制優遇を受けることができます。
流行り(?)の「つみたてNISA(Nippon Individual Saving Account)」も運用益が非課税という似たような恩恵を受けることができますが、つみたてNISAの場合は拠出した金額に対して税金が安くなることはありません。
iDeCo | つみたてNISA | |
---|---|---|
拠出限度額(年額) | 14.4万円~81.6万円 (加入者による) |
40万円 |
税制優遇 | ・運用益が非課税 ・掛け金が全額所得控除 ・公的年金控除、 退職金控除の対象となる |
・運用益が非課税(最長20年) ※年金ではないため |
引出し可能時期 | 原則60歳から | いつでもOK |
これまでは図1にある「企業型DCのみに加入している会社員」、「DBと企業型DCに加入している会社員」は、企業側がiDeCoへの加入を許可している場合のみiDeCoと併用可能でした。
しかし、先述した通り2022年10月からは加入要件が緩和され、(条件はありますが)個人の判断で会社員もiDeCoに加入することができます。これによってiDeCoの恩恵を受けることができなかった会社員もそれに預かれるはず。
企業型DC加入者が2022年10月からiDeCoを利用するにあたって
2022年10月から企業型DCを利用されている方もiDeCoに加入するにあたって、2つ条件があります。
- マッチング拠出を利用していないこと
- 各月の企業の掛け金と合算して5.5万円を超えないこと
マッチング拠出とは、企業の掛け金だけでなく会社員自らも掛け金を拠出できる制度です。マッチング拠出した金額や運用額は、iDeCoと同様に税制優遇を受けることが可能であるため、iDeCoに加入せず(できず)に利用されている方もいらっしゃると思います。
しかし会社員がiDeCoに加入する場合は最大2万円拠出できるのに対し、マッチング拠出の場合は企業の掛け金を越えて会社員が拠出することはできません。それぞれの最大拠出額や制約は下記の通り。
iDeCo | マッチング拠出 | |
---|---|---|
最大拠出額(月額) ※DCのみの場合 |
0.5~2万円 | ~企業の掛け金 (最大2.75万円) |
最大拠出額(月額) ※DBなど併用の場合 |
0.5~1.2万円 ※2024年12月からは最大2万円 |
~企業の掛け金 (最大1.375万円) |
その他 | 口座開設費、 管理費は自腹 |
口座開設費、 管理費は会社負担 |
共通制約 | 企業の掛け金 + 個人の掛け金合計は5.5万円まで (DBなど併用の場合は2.75万円まで) |
グラフを描く必要もなかったですが税制優遇を最大限受けようと思うと、DCのみの場合は企業の掛け金が2万円以下、DBなどを併用している場合は1.2万円以下でiDeCoを検討してもいいかもしれません。
ただiDeCoの管理費などは自費を切ることになりますので投資したい商品があるかや、そもそも投資に回すお金があるのかも含めて考える必要はありそう。あくまでも投資は余剰資金でやるものですので、60歳以降のお金を得るために今の生活を犠牲にするのはやめましょう。
確定拠出年金に関する統計
この記事は勤め人である私が今のままマッチング拠出を使うか、iDeCoと併用するかののメモ書きも兼ねて書いています。今回色々調べてみると、企業年金連合会が公開している確定拠出年金に関する調査結果を見つけました。(確定拠出年金に関する実態調査|統計資料|企業年金連合会)
2021年度の調査ではマッチング拠出の平均拠出額は8,526円(DCのみの場合)となっており、集計結果の98.7%がiDeCo検討ボーダーの2万円を下回っています。
マッチング拠出は企業の掛け金と同等額を上限(最大2.75万円)として会社員も拠出できる制度ですので、必ずしも上限いっぱい入れる必要はありません。また、企業と会社員の掛け金が最大でも5.5万円という制約もあるため、企業がたくさん掛け金を出している場合は、その分従業員が拠出できる限度額も下がります。
ただ、個人的には思ったよりも安いなという印象。
原則60歳以降でしか受取れない制約が足を引っ張っているのか、会社の掛け金が低すぎるのか、逆に掛け金が高くて拠出できないのか、そもそも拠出に割けるお金がないのか。
企業年金連合会の統計資料を読んでますと、図4のような集計結果がありました。
2021年3月末の事業者(企業)掛け金とマッチング拠出の平均額が16万円/年。マッチング拠出の平均額が0.71万円/月=8.52万円ですので、企業の掛け金の平均が約7.48万円/年≒0.623万円となっていそうです。
図3と図4でマッチング拠出額に乖離があるのは、図4ではDBなど併用している企業とは区別せず集計されているためです。
※マッチング拠出額:DCのみ 8,216円/月・n = 162、DB等併用 5,776円/月・n=147(いずれも図3引用元の資料より)。合算して平均値を出すと0.7056円/月≒0.71円/月(図4の結果)となります。
ともあれ、合算しようがしまいがiDeCo検討ボーダーの2万円(DB等併用なら1.2万円)には届いていません。マッチング拠出額が思いのほか低かった理由は、そもそも企業の掛け金が低いからという説明がつきそうです。
しかも図5にあるように、そもそも2020年度時点でマッチング拠出をしていない企業の15%しかiDeCoの加入を認めていませんでした。これまでは会社員がiDeCoを始めるためには勤め先が許可していないとダメでしたが、2022年10月からは個人の意思で始められます。
厚生労働省が少子高齢化などの社会経済情の変化を鑑みて確定拠出年金制度を整備(確定拠出年金制度について)していますので、このようにiDeCoの加入要件を緩めることでそれを加速させていると思われます。
今は企業とマッチング拠出 or iDeCo拠出額が5.5万円までという制約がありますが、そのうち上限額も上がったりするんですかね?NISAも永続化するかもみたいな話もありますし?
ともあれ、直前ではありますが10月からiDeCo加入要件も緩みますので新たに対象となるかたで、興味があるという方はこの機にやってみるのはいいと思います。繰り返しますが、iDeCoにせよ企業型DCにせよ原則60歳までは引き出せませんので、今後の人生設計やお金の計画をよく考えて選択するようにしましょう。
※本記事は個人的な主観がほとんどですので、本記事で発生した金銭的なトラブルは責任を負えません。
※誤っている部分や認識がおかしい部分がありましたらコメント頂けると幸いです。