新谷の日記

有意義なことが書けるように頑張ります

微積分を知っていると少し人生が豊かになるかもしれないねって話 その9

ご無沙汰しております、新谷です。

花粉の季節らしいですね。
ここ2年ほどちょうどこの時期に風邪をこじらせて鼻が止まらないことが多かったので、花粉症を疑っていたのですが、今年はピンピンしてるので花粉症でなさそうなことが分かって良かったと思っている今日この頃。

花粉症の人はお大事になさってください。

さて、これまでは指数関数について考えてきましたが、次回のために今回は別の関数について考えようと思います。

対数関数について

高校以降で数学を学ばれた人は知っていると思いますが、知らない人もいると思いますのでまずは対数関数について書いていこうと思います。

さて、y=a^{x}の指数関数があって、これをxイコールの形にしたいときx=\log _{a}yと書くと決め事をします。ただそれだけ。これを対数関数を呼んでいます。

8=2^{3}3=\log_{2}8に、100000=10^{5}5=\log_{10} 10000みたいな感じで書けますね。\log_{10}は色んな分野で使われることが多いので、10を略して\logだけ書く場合も多いです。

y=a^{x}y=\log _{a} xではyxの関係は逆になっているため、グラフを描いてあげるとy=xを軸に線対称になります。

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y=2^{x}y=\log_2 xの関係

対数関数には下のような公式が成り立ちます。中学で指数関数を学んでいたら難しい内容ではないので手を動かして確かめてみるのもいいと思います。

A>0,\ A\not = 1,\ a>0,\ b>0のとき

  • \log _{A}A=1 \Longleftrightarrow A^{1}=A

  • \log _{A}1=0 \Longleftrightarrow A^{0}=1

  • \log_{A}a^{b}=b\log_{A}a

  • \log_{A} (a\times b) =\log_{A}a+ \log_{A}b\Longleftrightarrow A^{a}\times A^{b}=A^{a+b}

  • \log_{A} \left ( \dfrac{a}{b}\right ) =\log_{A}a- \log_{A}b\Longleftrightarrow \dfrac{A^{a}}{A^{b}}=A^{a-b}

他にも色々あるのですが、今回はここまでにしておきます。

対数関数の変化の割合

さて、ここでy=\log_{A}xxx \rightarrow x+aとなった時の変化の割合を考えようと思います。yの値は下のようになりますね。

xのとき

  • y=\log_{A}x

x+aのとき

  • y=\log_{A}(x+a)

上に書いた公式も駆使すると変化の割合は下のように書けますね。

\begin{align}
\dfrac{\log_{A}(x+a)-\log_{A}x}{(x+a)-x} &= \dfrac{\log_{A} \left (\dfrac{x+a}{x} \right )}{a} \\
 &= \dfrac{\log_{A}\left (1+\dfrac{a}{x} \right )}{a} \\
&= \dfrac{1}{x}\dfrac{x}{a}\log _{A}\left (1+\dfrac{a}{x} \right ) \\
&= \dfrac{1}{x}\log _{A}\left (1+\dfrac{a}{x} \right )^{\dfrac{x}{a}}\\
\end{align}

3行目はxをかけてxで割ってるので値は変わっていません。ここでaを無限に小さくして変化の割合\dfrac{dy}{dx}を考えてみましょう。

さて、\log _{A}\left (1+\dfrac{a}{x} \right )^{\dfrac{x}{a}}が1になればスッキリしそうですね。上の公式から下のように書き換えることもできます。

\log _{A}\left (1+\dfrac{a}{x} \right )^{\dfrac{x}{a}}=1 \Longleftrightarrow \left (1+\dfrac{a}{x} \right )^{\dfrac{x}{a}}=A

ここでh=\dfrac{a}{x}と置き換えるとかっこ内は下のように書き換えられます。

A=\left ( 1+h\right )^{\dfrac{1}{h}}

aが無限に小さくなるとhも無限に小さくなりますね。さて、このシリーズを読み続けた人\left ( 1+h\right )^{\dfrac{1}{h}}の形に見覚えがあると思います。aを無限に小さくするとAネイピア数になります。詳しくは下の記事を参照してください。

ar4t4ni.hatenablog.com

つまり、y=\log_{e}xの変化の割合を無限に細かく見ると下のようになります。

\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{d}{dx}\log_{e}x=\dfrac{1}{x}

\log_{e}もよく使われるのでeを略して\lnと略する場合もあります。今後は略して\lnと書いていこうと思います。

さて、y=\ln xの変化の割合は分かりましたが、ちょっと拡張してy=\ln (x+b)の時を考えましょう。変化の割合を考え方は同じで下のようになります。式の変形の仕方もさっきと同じで、

xのとき

  • y=\ln (x+b)

x+aのとき

  • y=\ln (x+a+b)
\begin{align}
\dfrac{\ln (x+a+b) - \ln (x+b)}{(x+a)-x} &= \dfrac{\ln \left ( \dfrac{x+a+b}{x+b}\right )}{a} \\
&= \dfrac{\ln \left ( 1+\dfrac{a}{x+b}\right )}{a} \\
&= \dfrac{1}{x+b}\dfrac{x+b}{a}\ln \left ( 1+\dfrac{a}{x+b}\right ) \\
&= \dfrac{1}{x+b}\ln  \left ( 1+\dfrac{a}{x+b}\right ) ^{\dfrac{x+b}{a}}
\end{align}

aを無限に小さくして変化の割合を細かく見ると先ほどと同じように\ln  \left ( 1+\dfrac{a}{x+b}\right ) ^{\dfrac{x+b}{a}}=1となりますので、y=\ln (x+b)のとき

\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{x+b}

となります。まあ\lnの中が一次関数だったら中身の逆数が変化の割合になると覚えておけばOKです。

さてこのシリーズですが多分次が最終話になるかも?最後までお付き合いいただけると幸いです。

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