新谷の日記

有意義なことが書けるように頑張ります

微積分を知っていると少し人生が豊かになるかもしれないねって話 その8

こんにちは、新谷です。

暖かくなったと思ったら急に寒くなって体調を崩しそう。 温かい飲み物でも飲んで落ち着きたいところ。

寒い部屋で飲み物を放っておくとだんだん冷めてきますよね。 初めのうちは一気に飲み物が冷めますが、時間が経つと冷め方がゆっくりになる気がしませんか? で、だんだん温度が下がって最終的には部屋の温度と同じくらいになりますよね。

さて、前回の記事で\dfrac{dy}{dx}=yが何を意味しているのかということをつらつらと書いていましたが、今回はその話を掘り下げながら飲み物の温度変化の仕方について書いていこうと思います。

ar4t4ni.hatenablog.com

ちょっと補足

前にy=e^{x}の変化の割合を細かく見ると\dfrac{dy}{dx}=e^{x}=yになるということを書きましたが、それを少し拡張させます。

y=ae^{bx}+cのとき(a, b, cは定数)

\dfrac{dy}{dx}=abe^{bx}=b(y-c)

細かいことは教科書とか他のサイトとかにもあると思いますので、ここでは解説は省きます。指数関数の肩に定数がかけられている場合の変化の割合は、その指数関数に定数をかけるだけでOKということを覚えておけばOKです。あと、xがかけられていない定数は変化しないので、定数cの変化の割合を見ると0になるため無くなります。

まあ公式みたいなものだと思って頂ければ大丈夫です。

飲み物の温度変化を考える

さて、先ほど挙げた飲み物の温度変化について考えてみましょう。

「初めのうちは一気に飲み物が冷めますが、時間が経つと冷め方がゆっくりになる気がしませんか?」と最初に書きました。

実はその通りで、かのアイザック・ニュートンは「物体が冷える割合は、物体の温度と周りの温度の差に比例する」という法則を見つけていたみたいですね。

飲み物は時間が経つと冷えます。物体を飲み物に置き換えて考えると、ニュートンの見つけた法則は下のように書けます。

\dfrac{dy}{dt}=-k(y-T)

y:温度、t:時間、T:部屋の温度、k:定数(k>0)

\dfrac{dy}{dt}は「物体(飲み物)が冷える割合」を表しており、-k(y-T)は「物体(飲み物)と周りの温度の差に比例」を表しています。それを=で結んだだけですね。

私の恩師は「数学が世界で一番正確な言語だ」と豪語しており、私は未だに数学ができませんが、今になってその意味が分かるような気がします。

で、\dfrac{dy}{dt}=-k(y-T)ってさっきの公式に似てますよね。xtb-kcTに変わったくらいでしょうか。ということで、上の式を解くと下のようになります。

y=ae^{-kt}+T

飲み物の温度変化が指数関数で書けるようになりましたね。ここでさらに前提条件をつけましょう。

飲み物を入れたばかりの温度をy=T_0としましょう。入れたばかりというのは時間が経っていない、つまりt=0ですので、t=0のときにy=T_{0}になるaを求めることができますね。

y=T_{0}=ae^{-k\times 0}+T \\
T_{0}=a+T\\
\rightarrow a=T_{0}-T

ということで、さっき解いた式は下のように書き直すことができます。

y=(T_{0}-T)e^{-kt}+T

あとはどうにかこうにかしてkを求めると時間による飲み物の冷め方が分かります。ここで100℃の飲み物を室温25℃の部屋に放っておいたとしましょう。

となると、T_{0}=100T=25となるので、下の式のようになりますね。

y=75e^{-kt}+25

で、kの値が変わると飲み物の温度の変わり方がどう変化するか見てみましょう。それがこちら。

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100℃だった飲み物の温度が、時間が経つとだんだん室温に近付いていることがわかります。

そしてkが大きくなればなるほど、飲み物の温度の変化が大きいことが分かると思います。ですので、皆さんが普段使われているコップや、普段飲まれている飲み物を使って、温度変化を観察してkの数字を求めたら飲み物が何分後に何度になっているかということを予測することができますね。

まあ実際にはそこまでして飲み物の温度変化を観察しようとする人はいないでしょうが、世の中にはこういう現象が色々あります。

このようなものの見方を知っているともしかすると人生が少し豊かになったりするかもしれません。さて、この話もう少し掘り下げたいのですが、キリがいいのでこのあたりで〆ようと思います。

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それでは